❖ Browsing media by amane
桜と団地は昔からたいへん相性のいい取り合わせとしてよく知られていますが、その理由をご存じでしょうか? 一説では、桜も団地も均等で小さな構成要素が大量に、そして多層的に集まっているという共通点があるからだと言われています。「桜も団地もひとつの宇宙である」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
桜は小さな花びらが集まってひとつひとつの枝、大きな木、その集合としての並木を形成しています。小さな花びらを大量に保持しているおかげで、広大な並木の景色に動きを与えることができるのです。団地についても同様に、住戸が縦横に収容された住棟の集合としてその存在を定義できます。
もちろん、桜の花びらはただの単純な紙吹雪ではなく、小さく切れ込みの入った緻密な構造によって独特の散り方を見せるものです。また、団地の住戸にはそれぞれの人生や生活が広がっており、それだけでひとつの物語を作ることさえできます。しかし、そういう詳細や実存をズームアウトして押し潰すことでしか楽しめない景色があるのも確かです。上空から撮影した都市の夜景や、海を挟んで撮影した工場の全景を眺めているとき、同じような感覚を得たことのある人も多いでしょう。